八丈島

おはようございます、ちょっと小さいおじさんです。

小雨混じりの朝。

ずっとこんな感じなのかな、今日は。

さて。

今回の台風でかなりの被害を受けた八丈島。

避難所がやられるとか、もうどうすりゃいいんだ。

島民の無事が何よりです。

八丈島。

思い出の地。

流刑されてたワケじゃない。

釣りで。

逆に釣りでしか行ったことが無い。

非常に思い出の詰まった島。

あれはまだおじさんが20代後半かそこらだったか。

大物釣りにハマっていた頃。

沖縄周辺やイナンバ、銭洲といった僻地に遠征してた。

もちろん八丈島にも。

釣りで訪れたこの島。

でも思い出のほとんどが釣りのそれじゃない。

記憶が大型魚とのファイトじゃないんだわ。

定宿の広間の巨大魚拓。

レンタカーでの島巡り。

とぼとぼ歩いた島の古い裏路地。

その路地にある生垣の石が全部丸かった。

夢中になって食べた島寿司。

そんなこんなばかりを覚えている。

鮮明に。

大きなカンパチを釣ったりもした。

でもその時のファイトなぞ覚えていないのだ。

手巻きリールで赤い竿だったかな?

そんな程度。

釣り目的で行っているのに。

不思議だ。

せっかく行ったのに荒天で出船できず、なんてことも。

仕方なくヒマつぶしに堤防からルアー投げたらハリセンボン。

しかも巨大なの。

そういった記憶ばかり。

なかでも一番の思い出がある。

その時はいつもの定宿ではないところに投宿した。

なぜそこを選んだのかは覚えていない。

釣り宿ではなく、普通の民宿だった。

家族経営で宿泊客はおじさんと同行者だけだった。

我々たった二人のために食事の用意をしてくれた。

民宿と言っても、ほぼその体をなしていない。

ただの民家。

だから夕飯も普通の田舎の家庭の台所のようなところで頂いた。

食事の内容は細かく覚えていない。

たくさんのお皿が並んでいたことくらいか。

でもアシタバの天ぷらが異常に大きかったことを覚えている。

何度も八丈島に来るたびに食べてきたが初めて目にするサイズ。

それは明らかに人間の顔より大きかった。

それが山盛り。

そしてその卓を4人で囲んだ。

そう、その家のご主人と奥さんも一緒に。

全くの他人といきなり夕食。

さっき会ったばかりなのに。

人見知りのおじさんはうろたえた。

でも意外にも会話は弾んだ。

ご主人が焼酎を持ち出したからだ。

銘柄は分からないけど、島特産のものだった。

そう記憶している。

仕事は何してるだの、島はどうだ、だの。

そんな話が中心だった。

しばらくしてそれが1本空いた。

奥さんと同行者はとっくに就寝。

ご主人とおじさんだけが残った。

テーブル上に残ったおかずをつまみに次の瓶を開封。

話は終わらなかった。

ところがその後、事件が起きた。

2本目もそろそろ無くなるか、といった頃。

もう寝よう、なんとなくそんな雰囲気になって立ち上がった。

そして部屋に向かって歩き出したその直後。

盛大に嘔吐した。

誰も居ない深夜の廊下に。

きっとあのアシタバの天ぷらか。

今でもそう思ってる。

翌朝、果たして廊下は何事も無かったかのようになっていた。

礼を言い、宿を出て釣船の待つ港に向かった。

二日酔いどころかほぼ泥酔状態のまま運転したのはもう時効だろう。

その時は釣れたのか釣れなかったのか。

それも覚えていない。

八丈島の記憶は釣りの記憶じゃない。

島になにか恩返しをしなくてはいけない。

今回のニュースをみてそんな記憶が掘り起こされた。

ご主人と奥さん、元気かな。

お元気だったらギネス記録級のご高齢のはずだけど。

それでは今日も大量のアシタバの天ぷら食べていこうぜ。

では!