物理と餃子の思い出

おはようございます、ちょっと小さいおじさんです。

早朝はお日様も出てたのに。

やっぱり曇ってきた。

さて。

昨日「物理が好きになったのは高校生の時」って書いた。

その時、急に思い出して書いた。

だから忘れないよう、ここに書き留めておきたいな、と。

確かにそう書いた。

物理好きになったきっかけは高校生の時だった。

学校に来ていたのは男性の非常勤講師。

どういう契約だったのか、それは分からない。

でも物理の授業だけに来てたから非常勤なんだろな。

そんな程度の理解しかなかった。

名前は憶えていない。

40歳くらい。

おじさんと言うにはギリかなという感じ。

独身だった。

たいして愛想も良くない。

でも話せば面白い。

髪はボサボサでリッチーブラックモアに似てた。

こんな感じ

授業は楽しかった。

おじさんにとって脳内革命的なことが起きた。

単に解法や原理を教えてくれただけでなかった。

ともすれば机上の話に終始しがちな物理の授業。

それを身近に結び付けたりと、高校生に興味を持たせる授業だった。

そんな先生が授業中の余談だかナンだかで、ある話を。

自宅に生徒を招いて懇親会を開催してるという。

その名も「餃子会」。

今でも忘れない。

実にストレートで何のひねりも無いネーミング。

およそ月に1回の割で開催される生徒たちとその先生の会。

担当クラスの有志の生徒が集まった。

隣のクラスのあまり知らない生徒も来てた。

参加人数は変わるけど、まぁ毎回15人くらいだったかな。

男女の比も半々くらいだったか。

参加費があったけど正確な金額は覚えてない。

2、300円程度だったような。

でも確かに参加費はあった。

おじさんはバイトの関係で餃子を作るのに長けていた。

バイトは禁止されていたような気がする。

いや、されて無かったかもしれない。

でもほとんど誰もしていなかった。

おじさんはチェーン飲食店の中央工場でバイトを。

学校の定期券を使って通ってた。

そんなことから餃子を作る事はお手の物だった。

しかも正確に大量生産できた。

だから餃子会という名前に食いついた。

自分の活躍する場ができたと思った。

クラスメートにいい顔ができると思った。

なのでコアメンバーとして毎回参加してた。

本来の集合時間よりうんと早く到着。

皆が来る前に先生と二人で仕込みをしてた。

皮だけは市販のものを買ってた。

ただ、包む餡の調味はその先生の好みだった。

そこはそこ主催者権限。

でもおじさんが案を出してからそれも一部採用となった。

材料の細かさと調味に提案をしたのだ。

数回目以降、それが標準となったのを覚えている。

定刻になるとぞろぞろと同級生がやってくる。

親に持たされたのか、手土産を持参する者も居たな。

首都圏私鉄沿線の駅から離れたアパートの1階。

家賃が安いのは一目だった。

窓を開けると小さな縁台みたいなものがあった。

外には言葉通り猫の額ほどの庭があった。

部屋も庭も狭くて薄暗かった記憶がある。

そこに高校生が十数人入るんだから狭いのナンの。

で、座卓を囲んで餃子を焼くもんだから室内はもう大変よ。

みんなで作っては焼いて、大騒ぎして食べた。

先生はビールかなんか飲んでたような気がする。

ある会のこと。

5、6回ほど参加したころだったか。

いつものようにみんなでワイワイやってた。

会も後半になっていたころだったか。

その時、その先生がなんか難しい話をしてた。

他の生徒たちと。

おじさんの二つか三つほど離れた席で。

良く聞こえなった。

ちょっとは気になったけど、深堀することはなかった。

その時は。

数日後、学校でクラスメートとその時の餃子会の話題になった。

そこで知ったのが少しショックな内容だった。

正確には書かないが、いわゆる「反政府的活動への勧誘」だった。

おじさんは政治に興味が無い、ぼんやりした普通の高校生。

意味がよく理解できず、帰宅してこの話を親に聞いてみた。

以降、親にその会への出入りを禁じられた。

それでもその会へ出続けた。

未知のものへの興味があった。

思想とか精神世界とか、そういうのに反応する多感な高校生。

すると、やはりそれらしき勧誘が存在することを知った。

先生は毎回々誰かと深く話し込んでいる。

後日、学校で聞くとやはり勧誘だった。

多くの生徒は勧誘を受けていた。

それに嫌気したのか一人二人と参加者は減った。

でも依然として参加者は減らなかった。

進級すると下級生も参加してきたから。

それに基本的には餃子会は楽しいものだったのだ。

結局、親にウソをついて餃子会には参加し続けた。

そこは自分が餃子を作ってヒーローになれる場所だった。

でも高校三年になって模試が餃子会と重なるように。

次第に不参加が増えた。

行けなかった時には参加者に聞いて回った。

昨日はどうだった?楽しかった?

そして「勧誘はあった?」と。

息子の物理の面倒を見ることになってこの話を思い出した。

ちょうど今の息子と同じころだ。

懐かしい。

そして今、新たな疑問が。

なぜ先生はおじさんを勧誘しなかったのか。

一度も誘われることは無かった。

なぜだったのか。

それでは今日も法則を無視して頑張って行こうぜ。

では!