悲しい老人たちの話

おはようございます、ちょっと小さいおじさんです。

今朝は無風。

釣りをせずして何をする、ってな空模様。

ま、こういう時ってえてしてダメだったりするんですよね。

凪倒れ、って言葉があるくらいだし。

過去にはそんなことが山ほどあった。

さて。

ちょっとウチの母が困ったことになってて困ってます。

おじさんの母はおじさんの家からドアドアで約45分程度のところに一人暮らし。

老人の一人暮らしですよ。

それって今流行りの様々な問題を抱えてるんですよね。

孤独死とか火事出したりオレオレ詐欺に遭ったり。

孤独死はどうしようもない。

とりあえずまだ健康そうだけど、急に何かが起こってもおかしくない年齢だし。

火事の心配は昨年とりあえず対策を。

おじさんがガス台をIHに強制的に取り換えた。

オレオレ詐欺は、まず固定電話機を設置してないからなんとかなりそう。

老人相手の商売にはいろいろとこまごまと引っかかってるみたいだけど。

自宅の不用品を引き取ります、とか新聞、ね。

そういうのって今は老人が最大顧客だから。

それらもおじさん夫婦でなんとか阻止してきた。

ところが。

近くに伏兵が潜んでいた。

しかもギリースーツで巧妙に隠れてた。

3年前、おじさんの父は他界。

墓地は母の希望で母の自宅近く。

老人の歩みで約10分程度の至近距離。

余程の悪天候でもないかぎり、ほぼ毎日そこへ通っているそうな。

最近、そこで毎日会う老婆と友達になったと聞いていた。

その老婆もご主人を亡くし、同じ境遇で身の上話なぞをする仲らしい。

飽きもせず同じ話を毎日毎日してるのだろう。

一人暮らしだから寂しいのだろう。

そういった仲間ができるのはいい気晴らしになるんじゃないかと。

そう考えていた。

最初はそう考えていた。

先日その話をLINEで読んでいた。

「今日ね、その人と一緒に鎌倉に行くの」

細かな情報は省略するけど、なんかおかしいとおじさんの勘が働いた。

文章はおかしくはないんだけど、全体的にイヤなニオイがした。

おじさん、鼻はキクほうなのだ。

ワインのブドウ品種なぞズバリです。

で、すぐさま電話。

LINEなんかじゃラチがあかない。

母と会話した。

「その人怪しいからやめた方がいいよ」

母は相当に驚いた様子だったけど、さらに話をつづけた。

すると、一緒にどこかに行ってもその人は支払いしたこと無い、など様々な事実が明らかになった。

まずは取り急ぎその鎌倉行きは断念させた。

急に息子が来る事になったから、と言わせた。

翌日、急遽母のもとへ。

すると出るわ出るわ疑惑のネタが。

「あなたのコート素敵ね、私に合うわ」

「今度お宅にお邪魔してお話を」

なぞなぞその老婆の事を色々聞いた。

名前を呼び掛けても気が付かない、というなかなか香ばしい話も出てきた。

それ、偽名使った時の典型だわ。

総合して、おじさん夫婦はその老婆を寸借詐欺認定した。

孤独な母にとって、晩年に見つけたかけがえのない友なのかもしれない。

それを息子夫婦に寸借詐欺師呼ばわりされ、そして引きはがされた。

それはそれはショックだったに違いない。

少し気の毒に思った。

母は専業主婦としてずっと生きてきた。

幼いころは乳母に育てられ、箱根に疎開するような箱入り娘。

空襲でみんなが大変な思いをしている中、同じく避難していた外人家族とお茶したり。

幼少期とはいえ、戦争中にのんきに暮らしてた。

世間に出たのだって花嫁修業がてらにちょっと働いただけ。

そんなぬるい温室育ちなんて、世間の荒波にもまれてきた連中にとっていいカモですわ。

実際、多額のお金を様々な人々に持っていかれてる。

身内にも。

人を疑うという事をしない人間なのだ。

昨日また電話して聞いた。

「その方、目が悪くて入院するんですって」

これは保証人になってしまうパターン。

ひとり暮らしで誰も頼れないから保証人になって欲しいんだけど、と。

こういった常套句を母は知らない。

よく考えると、その老婆もかわいそうだ。

これから長くもない人生、そんな事をしながら生きていくのか。

毎日、その墓地でターゲットを探し続ける、そんな人生。

心休まる穏やかな毎日を過ごしてほしいものだ。

しかしこういう母を見て、老人相手のビジネスが成立するのがまことよく分かった。

来週あたりあたらしい会社を作ろうと思う。

それでは今日も充実した週末を。

では!